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刑法 被害者の同意

罪刑法定主義により

 

「被害者の同意」により、

一見成立した犯罪を、法益性の喪失の観点から不成立とする局面は限定的となる。

 

刑法の謙抑性の観点から、法益を放棄したものについては実質的処罰根拠を欠くというものは正当な考え方である。

 

「本人の意に反して」等の形で構成要件自体に含有されているものと解される。 したがって、「被害者の承諾・同意」を違法性阻却事由として論ずる局面は後述するとおり、かなり限定的となる。

 
 
 
有効な「被害者の承諾・同意」の、主体側の要件としては、
(1)法益が個人に属すること(後述)
(2)承諾能力
(3)承諾適格(原則は本人による承諾であり、代理を認めない)
(4)真意による(錯誤がない)(但し、争いあり)

 

があげられ、その行使態様としては
(1)目的が合法である、又は違法でないこと、及び
(2)行為そのものが社会的に認容できるものであることが要求される。

 

行使態様における成立要件の具備状況については、
 
ともに十分であれば異論なく
同意ありとされるが、
 
片方が欠ける場合又はその水準が低い場合には、
 
いずれに比重を置くかで、
 
行為無価値派と結果無価値派で争いがある。
 
 
 
 

ポイントは,社会的に相当性の範囲を超えた相手の権利を侵害する悪い行為であるかどうかという点です。つまり,被害者の承諾がある場合,加害者の行為態様や動機などを総合的に考えて,「社会的に相当性の範囲を超えた相手の権利を侵害する悪い行為であるかどうか」が傷害罪が成立するかのポイントとなります。

保険金詐欺は「社会的に相当性の範囲を超えた相手の権利を侵害する悪い行為」といえる。

 

最判昭和55年11月13日

「被害者が身体傷害を承諾した場合に傷害罪が成立するか否かは,単に承諾が存在するという事実だけでなく,右承諾を得た動機,目的,身体傷害の手段,方法,損傷の部位,程度など諸般の事情を照らし合せて決すべきものである」としています。