-
「共犯」
共犯とは、複数の人物が不法・不正な行為
法律上の共犯とは「2人以上の者が -
ひとつの犯罪に関与すること」をいう
-
必要的共犯と任意的共犯
法律上の共犯には「必要的共犯」と
-
「任意的共犯」の2つがある
必要的共犯とは、複数人が -
犯罪に関与が
-
予定されている犯罪です。
-
刑法第106条の騒乱罪は「多衆で集合して」という
-
要件があり、単独による犯行は実現しないので、
-
必要的共犯となる
任意的共犯とは、【実行従属性:共犯従属性説】
(教唆未遂の処罰は否定する。)
教唆・幇助の二次的責任性から、 -
正犯が未遂として加罰的となり、
-
それ以前の段階では
未だ不可罰的な教唆未遂である。
【要素従属性:制限従属性説】
-
正犯に構成要件該当性があっても -
違法性が阻却される場合には、
-
刑法による禁圧抑止の対象とはならない。
-
正犯行為に背後から因果性を有する
-
共犯の二次的責任を追求するには、
-
正犯に構成要件該当性と
-
共に違法性も要求される。
-
責任は、刑罰を科すべき正当性の
-
存否に関る要件で、性質上行為者ごとに個別に判断される。
-
任意的共犯の分類
任意的共犯は、次の3つの種類
- 共同正犯
- 教唆犯
- 幇助犯
-
共同して犯罪を実行した場合は
-
「共同正犯」になる
共同正犯の関係の場合は「すべて正犯」で -
正犯とは「主犯」と同じとされ、
-
犯罪を実行して刑事責任を科せられる。
-
つまり、共同関係のない単独犯であれば
-
「単独正犯」です。
共同正犯は、犯罪に関与した全員が -
正犯=主犯として扱われる。
-
全員が「自分の犯罪」として実行する
-
意志をもつため、たとえば複数人で協力してもみんな
-
共同正犯となる
-
【実行従属性:共犯従属性説】
(教唆未遂の処罰は否定する。)
教唆・幇助の二次的責任性から、 -
正犯が未遂として加罰的となり、
-
刑法による介入禁圧の対象と
-
なった時点で共犯も成立するのであり、
未だ不可罰的な教唆未遂であるに過ぎない。
【要素従属性:制限従属性説】
(正犯の要素として構成要件該当性と違法性を要求。
責任については個別に判断するべきであるから要求しない)
正犯行為に背後から因果性を有する共犯の責任を -
追求するには、正犯に構成要件該当性と
-
違法性も要求される。
責任は、刑罰を科すべき正当性の存否の要件であり、行為者ごとに
個別に判断される。
よって、共犯処罰が許される要件として
正犯者に責任は要求されない(制限従属性説)。
-
実行行為の事実がなくても、事前に共謀が存在し、 -
共謀にもとづいて犯罪がされれば、
-
実行行為がなくても「共謀共同正犯」という
刑法第60条によると、共同正犯者は全員が犯人として -
罰せられる
-
教唆犯は、教唆行為によって
-
正犯者が犯罪を実行することで成立する。
-
教唆行為があっただけでは足りず、
-
正犯者が犯罪を実行しなければ教唆犯は成立しない
刑法第61条には、教唆犯について「正犯の刑を科する」と明記されているので、犯罪の実行行為がなくても - 処罰されます。
-
幇助犯は、正犯者への幇助行為によって
-
幇助行為は、物理的な幇助以外に
-
励ましを与えるなどの精神的な方法で
-
幇助する行為も含む。
刑法第62条によると -
幇助犯は「従犯」とされており、
-
さらに同法第63条には従犯について
-
「正犯の刑を減軽する」とされている。
-
グループで敢行することが多い犯罪であり、
-
共犯率も高くなっています。
複数人で店舗などに押し入る、 -
見張りや逃走係を用意すると
-
いったケースでは全員が共同正犯です。
-
相手を脅したり金品を奪ったりする役割では
-
なくても、厳しく処罰される可能性は否めません。
強盗をおこなうようにそそのかせば教唆犯です。 -
恐喝罪は、少年事件において
-
高い共犯率を示している犯罪
不良グループがいわゆる「カツアゲ」行為に -
よって金品を奪う行為では、
-
実行犯のほかにも見張り役などが
-
存在するケースが
-
共同正犯が成立しやすくなります。
人物を指して「あいつは脅せばお金を出すだろう」 -
などと恐喝をすすめれば教唆犯に、
-
恐喝のために連絡用のSNSアカウントを
-
用意するなどの行為があれば
-
幇助犯として罰せられるおそれがあります。
-
犯行を計画した中心人物らや
-
詐欺を知っていてうその電話を
-
かける「かけ子」などは、
-
役割を分担していても全員が
-
詐欺の共同正犯となる
また、特殊詐欺の方法を -
レクチャーした者は教唆犯となります。
-
特殊詐欺の犯行そのものには
-
加担していなくても、
-
携帯電話や架空口座などの犯行ツールを用意したり、
-
潜伏先に生活費を送ったりすると
-
幇助犯として処罰される危険が高い
-