過失犯の成立条件
過失の成立条件は、
- 犯罪事実を認識・容認しないこと(犯罪事実の認識・容認の欠如)
- 注意義務に違反すること
の2つの条件です。
「犯罪事実の認識・容認の欠如」について
犯罪事実の認識・容認の欠如は、
- 認識のない過失
- 認識のある過失
に分けられます。
認識のない過失とは、
不注意により、犯罪事実を全く認識しなかった場合の過失
をいう。
たとえば、
ランニングで全く予期せずに人にぶつかってしまい、ケガをさせてしまった(過失傷害罪)…
という場合は、認識のない過失となります。
認識のある過失とは、
犯罪事実を認識したが、不注意により、結果の発生を認容しなかった場合の過失
をいいます。
たとえば、
狭い道路を車で走行中、前にいた歩行者を追い抜くにあたり、「自分の運転技術ならぶつかることはない」と思い、追い抜きをしたが、車を歩行者に衝突させてケガをさせた(過失運転致傷罪)…
という場合は、認識のある過失となります。
「注意義務違反(不注意)」について
過失があるというためには、犯罪事実の認識・容認の欠如だけでは足りず、注意義務違反(不注意)も必要になります。
注意義務は、
- 結果予見義務
- 結果回避義務
で構成され
結果予見義務とは、
結果の発生を認識・予見すべき義務
をいう
結果回避義務は、
結果発生の認識・予見に基づいて、結果の発生を回避すべき義務
をいう
故意が認められない場合,過失を検討することになる。ただし,刑法において,基本は故意がなければ処罰されません。つまり,故意が認められない場合は,基本的には刑罰を問えないが,例外的に過失犯が規定されている場合には過失犯として責任を問うことができる,ということになる
①現在の危難②避難意思③補充性④害の均衡
客観的に急迫不正の侵害が存在し,被告人には,その認識はな
かったが,その認識は可能であった。
意思内容を緩和する立場によれば,
結果の回避措置を執ることなく行われた被告人の過失行為は,侵害に対す
る客観的な防衛行為といえる。これを正当防衛というならば,それは,一
種の偶然防衛を肯定する
過剰避難とは
過剰避難とは、
行き過ぎた緊急避難行為
をいいます。
緊急避難が認められるためには、
- 危険を避けるための唯一の方法であって、ほかに方法がなかった(補充の原則)
- 避難行為によって侵害された法益(守られるべき権利)が、避難行為によって危険から免れた法益よりも大きくなかった(法益権衡の原則)
が必要
緊急避難が成立するためには、避難行為が必要最小限である必要がある