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未遂犯

犯罪の成立過程(時系列)は、

決意➡実行の着手➡実行の終了➡結果の発生

 

 「実行の着手」または「実行の終了」に至ったが、何らかの事情によって結果が発生しなかった場合を『未遂』という

 

 未遂犯とは、

犯罪の実行に着手したが、犯罪に該当する結果が発生せず、犯罪の内容(構成要件)を完全に充足しなかった場合

をいいます。

 刑法においては、未遂は、「犯罪の実行に着手したがこれを遂げなかった」と規定される(刑法43条)。

実行の着手とは

構成要件的結果発生の現実的危険性ありのとき

 

 

 

 

実行を着手したが実行行為を終了しなかった場合の未遂を着手未遂という。

実行行為を終了したが結果が発生しなかった場合の未遂を実行未遂という。

 

要はどの時点で中止をしたかを考える

 

 

 

因果関係は不要かどうかは論点となっる。

 

中止犯の処罰根拠が理由となります。 行為者に対する非難が減少するという、責任減少説からすれば 因果関係は不要です。

 

 

他方、違法性が減少するという、違法減少説からすれば、 因果関係は必要になります。 もっとも、多くの受験生は、責任減少説になると思いますので、 因果関係は不要で良いとおもいます。

 

 

因みに、中止犯の要件は、実行の着手、結果不発生、自己の意思により、中止した行為 の4つは必要となり、自己の意思があっても、他の原因で結果が不発生になった場合でも 真摯な努力をしているため、責任が減少することになる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

既遂と未遂の違い

 「未遂」と反対の概念は「既遂」です。

 犯罪行為を実行したとき、

構成要件を充足した場合

に犯罪は既遂となる

 これに対し、犯罪行為をしたとき、

構成要件に該当する行為はあったが、構成要件を充足しなかった場合

に犯罪は未遂となる

 

未遂が処罰されるのは例外

 刑法は、既遂を犯罪の基本型にしており、既遂を処罰することを原則

 なので、未遂犯を処罰するのは例外という法律の設計になっています。

 例外がゆえに、未遂で犯罪を処罰するためには、法律の条文に個別の規定が存在する必要があります(刑法44条203条243条など)。

未遂の種類

 未遂は、犯罪が成立しなかった原因によって、

「中止未遂」と「障害未遂」

に分けられる

 

中止未遂とは?

 中止未遂とは、

犯罪の実行に着手したが、自分の意思により犯罪を中止したため、犯罪が既遂に達しなかった場合

をいう(刑法43条ただし書)

 中止未遂の場合は、

必ず刑が軽減または免除される

ところが特徴

 自分の意思により犯罪を中止したことを高く評価し、必ず刑を軽くするという法律の設計になっている

障害未遂とは?

 障害未遂とは、

犯罪の実行に着手したが、中止未遂にあたる理由以外の理由により、犯罪が既遂に至らなかった場合

をいう(刑法43条本文)。

 障害未遂の場合は、中止未遂と違い、

裁判官の裁量により、刑が軽減または免除される

ことがあります。

 中止未遂と違い、必ず刑が軽くなるわけではないことがポイントです。

中止未遂を詳しく解説

中止未遂の成立要件

 中止未遂が成立するためには、

犯罪の実行の着手後に、自分の意志により犯罪の実行をやめた

という条件が必要になる

 具体的には、

犯罪の完成を阻止する行為をした

という積極的な行為が必要

 『犯罪の完成を阻止する行為』とは、

犯罪行為に着手後、その終了前に犯罪行為の継続を放棄した場合(着手未遂)

犯罪行為の終了後において、結果の発生を阻止する行為をした場合(実行中止)

の2パターンがある

『犯罪行為に着手後、その終了前に犯罪行為の継続を放棄した場合(着手未遂)』とは?

 たとえば、

  • 拳銃を相手の頭に突きつけたが、引き金を引くのをやめた場合
  • バッグの中から財布を盗もうとして、バッグの中に手を突っ込んだが、バッグの中から財布を抜きとるのをやめた場合

が『犯罪行為に着手後、その終了前に犯罪行為の継続を放棄した場合(着手未遂)』にあたる

『犯罪行為の終了後において、結果の発生を阻止する行為をした場合(実行中止)』とは?

 たとえば、

被害者の首を果物ナイフで突き刺したところ、流血を見て驚愕するとともに悔悟の情から、被害者の首にタオルを当てたり、救急車を呼んで医師の手当てを受けさせたりして被害者の一命を取り止めた場合(福岡高裁 S61.3.6

は、『犯罪行為の終了後において、結果の発生を阻止する行為をした場合(実行中止)』となります。

 中止未遂となるためには、犯人自身が、結果の発生を阻止すべく、真摯な努力をしたことが必要

 結果発生防止のための真摯な努力をしたと認められるためには、

  • 三者に助けを頼むだけ
  • 被害者を病院に連れていくだけ
  • 救急車を呼ぶだけ

という程度では足りず、これだけでは中止未遂になりません。

 中止未遂となるためには、犯人自身が、結果発生防止のための最善の努力を尽くす必要があるのです。

障害未遂を詳しく解説

 障害未遂となるかどうかの考え方はシンプルです。

中止未遂が成立しなければ、障害未遂が成立する

という考え方になる

 

 

 障害未遂かどうかの判断基準のポイントは以下のとおりです。

  • 犯罪の発覚を恐れて犯行に着手しなかった場合
  • 恐怖、驚愕、憎悪で犯行を着手しなかった場合

というように、恐怖、驚愕・憎悪という心理的要因が影響して犯行を中断した場合は、中止未遂の成立要件である「自分の意志により犯罪の実行をやめた」にはあたらず、障害未遂になります(最高裁判例 S24.7.9)。

 これに対し、

  • 反省、後悔、あわれみの気持ちで犯行に着手しなかった場合
  • 縁起をかついで犯行に着手しなかった場合

は、「自分に意志により犯罪の実行をやめた」にあたり、中止未遂になるとされる

 

 

因果関係は不要かどうかは論点となり、中止犯の処罰根拠が理由となります。 行為者に対する非難が減少するという、責任減少説からすれば 因果関係は不要です。

 

他方、違法性が減少するという、違法減少説からすれば、 因果関係は必要になります。 もっとも、多くの受験生は、責任減少説になると思いますので、 因果関係は不要で良いとおもいます。

 

因みに、中止犯の要件は、実行の着手、結果不発生、自己の意思により、中止した行為 の4つは必要となります。 そして、自己の意思があっても、他の原因で結果が不発生になった場合でも 真摯な努力をしているため、責任が減少することになる