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刑事訴訟法

  • 百選40事件(起訴状における余事記載)
  • 起訴状の余事記載について
    現行法は、起訴状には、裁判官に予断を生ぜしめるおそれのある書類
  • その他の物を添付し、内容を引用してはならない(刑訴法256条6項)
  • として、起訴状一本主義を採用している。そこで本問の起訴状の記載がかかる起訴状一本主義に反するのではないか。
    法が起訴状一本主義を採用したのは、
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  • わが国が当事者主義的訴訟構造(298条1項、312条1項)をとり、
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  • かかる当事者主義を実効化し、また予断を排除することによって「公平な裁判所」(憲法37条1項)の実現を図るためである。
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  • しかし一方で、法は裁判所に対して審判対象を明確化し、
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  • 被告人に対して防御の機会を保障するため、
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  • 起訴状において訴因を明示すること、
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  • つまり訴因の特定を要求している(256条3項)。
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  • 本問のように名誉毀損記事の全文を引用することは
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  • 特定の要請には資することになることから、
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  • 起訴状一本主義の原則と訴因特定の原則とが矛盾するのではないか。
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  • 両者の関係が問題となる。
    この点、起訴状の記載は一方当事者である検察官の主張であるから、
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  • 何を書いてもよいはずである。
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  • 256条6項は書類、その他の物の添付、引用を禁止しているのであって余事記載..
  • 百選52事件(必要的弁護)
  • 弁護人がいなければ開廷することができない刑事訴訟法289条1項、316条の29、350条の9)。 このような必要的弁護事件については、既に私選弁護人が選任されている場合を除き、裁判所は国選弁護人を選任しなければならない(同法36条)。
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  • 百選54事件(公判前整理手続における証拠開示)
  • 公判前整理手続きに付されている事件の場合は、 請求予定の証拠の開示は検察官主導 で行われます。 しかし、そうでない 通常の刑事事件の場合 は、証拠開示は、請求予定のものであれ、 検察官の任意で開示 されます。 基本的に検察官も開示してくれますが、 弁護人が問い合わせなければ開示の手続きに入りません。 上記のように 弁護人主導で手続きを進めることもあり、公判請求され次第、検察官に対し、開示を求める必要があります
  • 百選55事件(刑訴法316条の17と自己に不利益な供述の強要)

刑訴法316条の17と自己に不利益な供述の強要 

<事案>
革労協関係者である被告人らが、威力業務妨害と、地裁所長から庁舎敷地外への

退去命令を受けたのに退去しなかったという建造物不退去の事案において、

第1審裁判所が事件を公判前整理手続に付したところ、

公判前整理手続において被告人に主張明示義務及び証拠調べ請求義務を

課している刑訴法316条の17が、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と

定める憲法38条1項に違反する旨主張された上告事件についての最高裁決定。 

<規定>
憲法 第38条〔不利益な供述の強要禁止、自白の証拠能力〕
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
②強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
③何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

刑訴法 第311条〔被告人の黙秘権・供述拒否権、被告人質問〕
被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。
②被告人が任意に供述をする場合には、裁判長は、何時でも必要とする事項につき被告人の供述を求めることができる。
③陪席の裁判官、検察官、弁護人、共同被告人又はその弁護人は、裁判長に告げて、前項の供述を求めることができる。

刑訴法 第316条の17〔被告人・弁護人の主張明示〕
被告人又は弁護人は、第三百十六条の十三第一項の書面の送付を受け、かつ、第三百十六条の十四及び第三百十六条の十五第一項の規定による開示をすべき証拠の開示を受けた場合において、その証明予定事実その他の公判期日においてすることを予定している事実上及び法律上の主張があるときは、裁判所及び検察官に対し、これを明らかにしなければならない。この場合においては、第三百十六条の十三第一項後段の規定を準用する。

<判断>
刑訴法316条の17は、被告人又は弁護人において、公判期日においてする予定の主張がある場合に限り、公判期日に先立って、その主張を公判前整理手続で明らかにするとともに、証拠の取調べを請求するよう義務付けるものであって、被告人に対し自己が刑事上の責任を問われるおそれのある事項について認めるように義務付けるものではなく、また、公判期日において主張をするかどうかも被告人の判断に委ねられているのであって、主張すること自体を強要するものではない

自己に不利益な供述を強要するものとはいえないから、憲法38条1項違反をいう所論は前提を欠く。

 

  • 百選56事件(公判前整理手続後の訴因変更)
  • 論点公判前整理手続後の訴因変更の可否 B 論証 訴因変更の請求が許される手続段階について,刑事訴訟法は特 に制限を付しておらず,公判前整理手続後の証拠調べ請求が制限 されている(316条の32)のとは異なり,訴因変更の請求に関する 制限は設けられていない。. しかし,公判前整理手続は,当事者双方が公判においてする予 定の主張を明らかにし,その証明に用いる証拠の取調べを請求し, 証拠を開示し,必要に応じて主張を追加,変更するなどして,事 件の争点を明らかにし,証拠を整理することによって,充実した 公判の審理を継続的,計画的かつ迅速に行うことができるように するための制度である。. そこで,公判前整理手続に付しながら,その意味を失わせるよ うな訴因変更の請求は許されないと解すべきである
  • 百選57事件(公判前整理手続における主張明示と被告人質問)cf新司過去
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  • 最高裁判所の見解

    公判前整理手続は,充実した公判の審理を継続的,計画的かつ

    迅速に行うため,事件の争点及び証拠を整理する手続であり,

    訴訟関係人は,その実施に関して協力する義務を負う上,

    被告人又は弁護人は,刑訴法316条の17第1項所定の

    主張明示義務を負うのであるから,公判期日においてすることを

    予定している主張があるにもかかわらず,

    これを明示しないということは許されない。

     

  • 百選58事件(公判前整理手続後の証拠調べ請求)

「証拠開示が十分に受けられないまま公判が始まった」

阪高裁の決定は、2019年5月、飲酒後に車を運転して大津市で事故を起こし、

当時9歳の男児を死亡させたとして、会社員の男が、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)の罪で在宅起訴された事件に関するもの。弁護人の辻孝司弁護士によると、過失運転致死罪の適用を求める弁護側は「争点と証拠を整理する必要性がある」として、同年12月、大津地裁に公判前整理手続を求めたが却下された。大津地裁は、今年5月の初公判当日、公判がはじまる直前に公判前整理手続を1回だけ実施した。

辻弁護士によると、大津地裁の大西直樹裁判長は、公判前整理手続で「公判中の証拠調べ請求は、(原則的に)法律上できないけれど、(今回の事件は)やむを得ない事由に該当する。裁判員裁判ではないから、柔軟に使えば良いのではないか」と発言。また、「(他の裁判所に勤務していた10年前にも)同様の運用をした」と説明し、休憩をはさんだ直後に公判を始めた。

辻弁護士は、「証拠開示が十分に受けられておらず、おかしいと(大西裁判長に)反論したが、最終的には、裁判所の柔軟な対応を信じて受け入れた」としている。

  • 百選68事件(証人尋問における被害再現写真等の利用)

公判前整理手続は,充実した公判の審理を継続的,計画的かつ

迅速に行うため,事件の争点及び証拠を整理する手続であり,

訴訟関係人は,その実施に関して協力する義務を負う上,

被告人又は弁護人は,刑訴法316条の17第1項所定の

主張明示義務を負うのであるから,公判期日においてすることを

予定している主張があるにもかかわらず,

これを明示しないということは許されない。

 

こうしてみると,公判前整理手続終了後の

新たな主張を制限する規定はなく,

公判期日で新たな主張に沿った被告人の供述を

当然に制限できるとは解し得ないものの,

  • 百選95事件(量刑と余罪)量刑判断に余罪は考慮できるか. 起訴されていない罪を余罪として認め、実質上これを処罰する趣旨で量刑判断に利用することは許されない。. ただ、 犯罪の動機や目的、方法、被告人の性格等の情状を推知するために用いるのは許される と考えられている。. 起訴していないにも関わらず実質処罰するような行為が認められないのは、「不告不理の原則」や 「法の適正な手続」を保障する憲法31条 、「証拠裁判主義」を定める刑事訴訟法317条、「二重処罰の禁止」などを保障する憲法39条などに反するおそれがあるのがその理由である。.
  • 百選96事件(無罪判決後の勾留)